5月がやってきたゴールデンウィークが明けるとすぐに中間テストの時期だ。模試も今月中にひとつある。

外は春の長雨という陽気でここ何日も雨だ。西の方では川が氾濫し、行方不明者や孤立地域が出ているそうだ。このまま、晴れ間を見ずに梅雨入りではと天気予報士が言っていた。

雨のそぼ降る中、私は出来上がったばかりのミサンガを持ち伯母さんの家に向かうつもりでいた。

ゴールデンウィークを使って作った迅のお守りのミサンガ。
迅の希望で取り外しが効くように一部にゴムを使ってある。色はいつも真っ赤。最初に作ったのが赤だったせいか、新たなものを作るとき迅が赤にしてと指定するのだ。縁起担ぎもあるのかもしれない。
私が最初に赤一色でミサンガを作ったのには理由があるんだけれど、特に口にしたことはない。迅のイメージカラーだとだけ伝えてある。

迅が帰ってきたとき確実に渡せるように、伯母さんに託す約束をした。これから、夕飯の買い物がてら届ける予定なのだ。
しかし、いざ出かけようとしたら母が帰ってきた。鍵の音に続き、リビングダイニングに現れた母を見て、驚いた顔したのがいけなかった。

「言ってなかったけど、健康診断で今日は午後半休なの。あなたはどこへ出かけるの?」

お母さんの不機嫌な声に嫌な気分になった。きっとまた、私が勉強をサボって遊び歩こうとしていると思っているのだ。うまく答えようとしても無駄なので素直に言うことにした。

「伯母さんのところ」
「何しに?」
「迅のお守りができたから預けにいく」