洗い物に戻る店主に、
「それって」
と、ナムがガツガツ食べている皿を指さした。
「あご、ですか?」
「ほう。あんた、あごを知ってるのか?」
少し目を大きくした店主にうなずく。
「昔、おばあちゃんがよく味噌汁の出汁に使ってました」
この西洋卵焼きがなつかしい味なのは、あごでとった出汁が入っているからなんだ。
「そうか」
もう店主は興味を失くしたみたいにフライパンをタオルで拭いている。
なぜだろう?
さっきからなつかしい記憶ばかりが思い出される。
お母さんが作った朝ごはんも、お父さんのお餅も、おばあちゃんの出汁の取り方ですらも、もうずっと忘れていたのに。
おいしいだけじゃなくて、こんなにも心があったかくなるなんて不思議だった。
「それって」
と、ナムがガツガツ食べている皿を指さした。
「あご、ですか?」
「ほう。あんた、あごを知ってるのか?」
少し目を大きくした店主にうなずく。
「昔、おばあちゃんがよく味噌汁の出汁に使ってました」
この西洋卵焼きがなつかしい味なのは、あごでとった出汁が入っているからなんだ。
「そうか」
もう店主は興味を失くしたみたいにフライパンをタオルで拭いている。
なぜだろう?
さっきからなつかしい記憶ばかりが思い出される。
お母さんが作った朝ごはんも、お父さんのお餅も、おばあちゃんの出汁の取り方ですらも、もうずっと忘れていたのに。
おいしいだけじゃなくて、こんなにも心があったかくなるなんて不思議だった。