店内は外から覗いたときよりもずっとせまく思えたけれど、大きな窓から見える空が印象的だった。


「あの……」


「すぐできるから」


こっちの顔も見ないでそっけなく言う。

ためらいながらも腰をおろしてしまったのは、歩くと痛むかかとのせい。

靴ずれはまだヒリヒリと今日のショックを物語っているみたい。

かかとを見ると、こすれて穴の空いたストッキングに赤い血がにじんでいた。

それにしても、と店内を見回す。

木目の壁にはメニューどころかポスターの一枚も貼っていない。