お母さんが帰ってくる前に、やっておきたい家事がいくつかあったから、いつもより早めに帰ることにした。
おじいちゃんが新鮮なキュウリを持たせてくれた。
うちのお母さんに悪いと思っていたというのは、本音なのかもしれない。
前のカゴに乗せた、みずみずしい緑色を見ながら思う。
わたしがもう少しちゃんとしないと、周りの人に気を遣わせてしまう。
凪の家に通いたいのなら、自分のやるべきことをちゃんとやってないとダメだ、と少し反省した。
家に帰って、洗濯物を取り込み、すべて畳んでも夕飯の準備を始めるまでに余裕があった。
そこでわたしは、キュウリのピクルスを作ることにした。お酢は体の疲れを取ることができると聞くし、日持ちもする。たくさん作って置こうと、自分の思いつきに気分が上がった。
レシピはスマホで調べた。もらってきたキュウリをキレイに洗って、ひと口大に切る。
レシピを見ながら、調味料を合わせる。煮沸消毒しておいたガラスのビンに注ぐと、緑色がより濃くなって、見るからに体によさそうに思えた。
これを夕食の時間まであと一時間くらい寝かせれば、食べ頃になるはずだ。
わたしはお母さんが喜んでくれる顔が見れると思って、そわそわと心を弾ませた。
でも、夕飯の雰囲気は最悪だった。
お母さんは夕食が始まった途端に、お父さんに訴えた。
「ねえ、翔のことを探しましょうよ。手紙が来たってことは、彼女はわたしたちと連絡を取りたいと思ってるのよ」
すると、お父さんが低い声で答えた。
「なんで翔が嫌がってるのに、彼女は連絡を取りたいんだ? 金にでも困ってるんじゃないのか」
その言葉に、お母さんが悲しげな顔をした。
「ねえ、その話は後にしようよ。今はご飯食べよう。今日は凪のおじいちゃんにもらったきゅうりでピクルス作ったの」
なんとか険悪な空気を追い払いたくて、わたしは明るく言った。
でも、お父さんおお母さんのわたしの言葉なんて聞こえないようだった。
「手紙には翔のことは書いてない。あいつはまだ仕事もろくにしてないんじゃないか。それで困って連絡してきたんじゃないのか」
「だとしたら、余計助けてあげなきゃ……」
「またがっかりしなきゃいけないのか」
お父さんは吐き出すように言った。
おじいちゃんが新鮮なキュウリを持たせてくれた。
うちのお母さんに悪いと思っていたというのは、本音なのかもしれない。
前のカゴに乗せた、みずみずしい緑色を見ながら思う。
わたしがもう少しちゃんとしないと、周りの人に気を遣わせてしまう。
凪の家に通いたいのなら、自分のやるべきことをちゃんとやってないとダメだ、と少し反省した。
家に帰って、洗濯物を取り込み、すべて畳んでも夕飯の準備を始めるまでに余裕があった。
そこでわたしは、キュウリのピクルスを作ることにした。お酢は体の疲れを取ることができると聞くし、日持ちもする。たくさん作って置こうと、自分の思いつきに気分が上がった。
レシピはスマホで調べた。もらってきたキュウリをキレイに洗って、ひと口大に切る。
レシピを見ながら、調味料を合わせる。煮沸消毒しておいたガラスのビンに注ぐと、緑色がより濃くなって、見るからに体によさそうに思えた。
これを夕食の時間まであと一時間くらい寝かせれば、食べ頃になるはずだ。
わたしはお母さんが喜んでくれる顔が見れると思って、そわそわと心を弾ませた。
でも、夕飯の雰囲気は最悪だった。
お母さんは夕食が始まった途端に、お父さんに訴えた。
「ねえ、翔のことを探しましょうよ。手紙が来たってことは、彼女はわたしたちと連絡を取りたいと思ってるのよ」
すると、お父さんが低い声で答えた。
「なんで翔が嫌がってるのに、彼女は連絡を取りたいんだ? 金にでも困ってるんじゃないのか」
その言葉に、お母さんが悲しげな顔をした。
「ねえ、その話は後にしようよ。今はご飯食べよう。今日は凪のおじいちゃんにもらったきゅうりでピクルス作ったの」
なんとか険悪な空気を追い払いたくて、わたしは明るく言った。
でも、お父さんおお母さんのわたしの言葉なんて聞こえないようだった。
「手紙には翔のことは書いてない。あいつはまだ仕事もろくにしてないんじゃないか。それで困って連絡してきたんじゃないのか」
「だとしたら、余計助けてあげなきゃ……」
「またがっかりしなきゃいけないのか」
お父さんは吐き出すように言った。