わたしはいつもと雰囲気の違うおじいちゃんを前に、なんだか泣きそうだった。

「今まで凪から手紙の思いを読むことについて、なにか聞いていたかい?」

おじいちゃんの質問に、わたしは強く首を横に振った。

「全然、なにも聞いたことない」

「じゃあ、今回のことは偶然なんだね」

「偶然だよ! わたしはなにも知らなかったし、最初は凪も驚いてたと思うもの」

「凪もわかってなかったんだね」

「多分……。でも、前にもこういうことができた気がするって言ってた」

おじいちゃんは「そうか」とうなずくと、わたしに言った。

「くるみちゃんに話したいことがあるんだが」

そして、お母さんにお父さんを呼んでほしいと頼んだ。

お父さんも何事かと聞き耳を立てていたようで、すぐに出てきた。

「すまんが、あれをくるみちゃんに見せたいんだ。郵便局を開けてもらえないだろうか」

その言葉に、お父さんは驚いた顔をした。

「今ですか」

「無理を言って申し訳ない。でも、くるみちゃんには伝えておきたい話があるんだ」

「……わかりました。ちょっと鍵をとってきますね」

そう言い残すと、お父さんは部屋に戻った。

いったいおじいちゃんがわたしになにを話そうとしているのかわからずに、わたしはただただ怯えていた。