「見せて、写真」
お兄ちゃんにお願いされてスマホを渡すと、お兄ちゃんと玲美さんがのぞき込んだ。
「うわっ、やっぱ華ってかわいいなあ」
「翔ちゃん、親バカすぎ。恥ずかしいからやめて」
「だって、まじでかわいい。いつまででも見てられる」
夫婦で笑い合いながら写真を見ていると思っていたら、突然ふたりが『おっ』という顔をした。
「なによ」
不審に思ってわたしが聞くと、お兄ちゃんが「ヒューヒュー」と古くさくはやし立てた。
「ラブラブじゃんか。いいねえ、高校生! 青春だなー」
その言葉にハッとしてスマホをひったくると、そこには、最初で最後のデートの日、あの丘でふたりで撮った写真が出ていた。
「やだ、もう! 勝手に見ないでよ」
わたしが怒った声でクレームを入れても、お兄ちゃんは気にも留めなかった。
「凪も呼べばいいじゃん。どうせお前ら、もう公認なんだろ?」
途端に食卓がシーンと静まり返った。
お父さんとお母さんがものすごく気まずそうな顔をしていることに気づき、お兄ちゃんと玲美さんがあわてた。
「え? なに? 俺、なんかまずいことでも言った?」
本当は自分の部屋に駆け込みたいような気持ちだった。
でも、それを思いとどまることができるくらいには、わたしの心もだいぶ強くなっていた。
とりあえず、わたしはお兄ちゃんをにらみつけて、むくれてみせた。
「プライバシーの侵害だからね。もう!」
わたしの様子に、お父さんもお母さんも明らかにホッとした顔をした。
「まったく。翔は帰ってきた早々、妹に怒られてるんじゃ、しょうがないな」
お父さんの言葉に玲美さんが「すみません、ほんとに」と謝った。
「玲美さんが謝る必要なんて、ないわよー。ほら、くるみももっと食べなさい」
お母さんが場をとりなしながらも、わたしを気にかけているのがわかった。
「食べる、食べる、お肉まだある?」
再び食卓に賑やかさが戻ってきたことにホッとしながら、わたしは取り分けてもらったお肉を頬張ってみせた。
お兄ちゃんにお願いされてスマホを渡すと、お兄ちゃんと玲美さんがのぞき込んだ。
「うわっ、やっぱ華ってかわいいなあ」
「翔ちゃん、親バカすぎ。恥ずかしいからやめて」
「だって、まじでかわいい。いつまででも見てられる」
夫婦で笑い合いながら写真を見ていると思っていたら、突然ふたりが『おっ』という顔をした。
「なによ」
不審に思ってわたしが聞くと、お兄ちゃんが「ヒューヒュー」と古くさくはやし立てた。
「ラブラブじゃんか。いいねえ、高校生! 青春だなー」
その言葉にハッとしてスマホをひったくると、そこには、最初で最後のデートの日、あの丘でふたりで撮った写真が出ていた。
「やだ、もう! 勝手に見ないでよ」
わたしが怒った声でクレームを入れても、お兄ちゃんは気にも留めなかった。
「凪も呼べばいいじゃん。どうせお前ら、もう公認なんだろ?」
途端に食卓がシーンと静まり返った。
お父さんとお母さんがものすごく気まずそうな顔をしていることに気づき、お兄ちゃんと玲美さんがあわてた。
「え? なに? 俺、なんかまずいことでも言った?」
本当は自分の部屋に駆け込みたいような気持ちだった。
でも、それを思いとどまることができるくらいには、わたしの心もだいぶ強くなっていた。
とりあえず、わたしはお兄ちゃんをにらみつけて、むくれてみせた。
「プライバシーの侵害だからね。もう!」
わたしの様子に、お父さんもお母さんも明らかにホッとした顔をした。
「まったく。翔は帰ってきた早々、妹に怒られてるんじゃ、しょうがないな」
お父さんの言葉に玲美さんが「すみません、ほんとに」と謝った。
「玲美さんが謝る必要なんて、ないわよー。ほら、くるみももっと食べなさい」
お母さんが場をとりなしながらも、わたしを気にかけているのがわかった。
「食べる、食べる、お肉まだある?」
再び食卓に賑やかさが戻ってきたことにホッとしながら、わたしは取り分けてもらったお肉を頬張ってみせた。