昼前にお母さんが帰ってきた。
仕事場に凪の家の近所の人がいて、凪が救急車で運ばれたことを教えてくれたらしい。

「凪くん、発作みたいなのを起こしたらしいって」

病院に向かう車の中で、お母さんが聞いてきたことを話してくれた。

「発作?」

「そう。全身がブルブル震えていたって」

その姿を想像してしまい、わたしは息を呑んだ。

「満帆さんが半狂乱になって大変だったみたい。おじいちゃんもお母さんも一緒に救急車に乗っていったらしいけど……」

いったいなにがあったんだろう。
凪になにが起きたんだろう。

昼時の国道は混んでいて、車はのろのろと進んでいる。
わたしは焦る心を必死で抑えて、祈るように手を組んだ。