翌日、久しぶりに朝からおじいちゃんの家に向かった。

わたしが到着すると、朝の作業を終えて朝食を食べていたらしい凪が驚いた顔で出てきた。

「くるみ、どうしたの?」

凪が目を丸くしてわたしを見ている。
いつもカジュアルなわたしが、今日は薄いブルーのワンピースを着ているからだろう。

「凪、お母さんは?」

「あ、やっぱりまだもうしばらくいるみたい。でも、なんかやることがあるからって部屋にこもってるよ」

わたしの問いに、凪は肩をすくめて答えた。

「そう……」

満帆さんは手紙を書き始めたんだなと思った。
遅かれ早かれ、きっと凪はその手紙を読むことになるだろう。

「ねえ、凪。今日は、わたしとデートしない?」

「え? ええっ!?」

予想以上に凪は驚き、飲んでいた麦茶を吹き出した。心なしか、顔が赤くなっている。

「なんでそんなに驚くの」

「だって、デートって……急にそんなこと言うから」

「そんな変なことじゃないでしょう。いいじゃない、たまには」

すると、新聞を読みながらわたしたちの会話を聞いていたおじいちゃんが助け舟を出してくれた。

「いいんじゃないか。くるみちゃんにはいつも手伝ってもらってるんだし、お礼においしいものでもごちそうしてあげなさい」

「でも、今日の作業が……」