元来た道を、今度は満帆さんが加わった三人で戻った。その間、三人とも無言だった。

わたしはなにを話していいかわからなかったし、凪はただ戸惑っていた。

そして満帆さんの顔は引きつっていた。それもそうだろう。
長らく会っていなかったとはいえ、実の息子が自分のことを見知らぬ他人のようにしか接してこないのだから。

十年ぶりに現れた満帆さんを見て、おじいちゃんは言葉を失っていた。
満帆さんも神妙な顔をしていた。

「お久しぶりです。ご無沙汰してしまって、すみません」

家に上がると、満帆さんは正座しておじいちゃんに頭を下げた。

その様子は、わたしが想像していた凪のお母さんとは違っていた。
凪のお母さんはもっと横柄で傍若無人な人なのではないかと思っていたのだ。
でも、おじいちゃんに挨拶する姿や、すぐに仏壇に向かいおばあちゃんに手を合わせている姿は、まっとうなちゃんとした大人の人に見えた。

わたしと凪は廊下から中の様子を窺(うかが)っていた。
とてもわたしたちが立ち入ることができる空気ではなかった。