その温度差のある再会に居合わせてしまったわたしは、そんなふうに凪に助けを求められてもどうしていいかわからず、動くことができなかった。
事情をすべてわかっているのはわたしだけで、説明しなくてはいけないのに、これから起きる混乱を思うと声が出ない。

「あの……」

とうとう凪が自分から口を開いた。

凪の声に、満帆さんが「あ、ごめんごめん、つい感激しちゃって」と体を離した。

「すみません、人違いじゃないかと思うんですが」

おずおずと口にした凪に、満帆さんは「え?」と目を見開いた。

このままではまずい。わたしは瞬間的にそう思った。

「違うんです、違うんです!」

そう言うと、凪をかばうように満帆さんの前に立った。

「なに?」

凪のことしか見えていなかっただろう満帆さんは、突然現れた部外者に不審そうな目を向けた。

「すみません、事情があって、いろいろ……。とにかく、おじいちゃんのところへ行きませんか。まず、おじいちゃんと話をしてください!」

わたしは必死だった。
わたしのせいで起きる悲劇をなんとか避けるためには、おじいちゃんに助けを求めるしかなかった。