「あのさ、年子で妊娠して、下の子が双子って大変?」

するとお母さんは、「そりゃーもう!」と声を上げた。

「年子ってだけで大変なのに、双子なんて産まれたら、もうお手上げよ。ひとりじゃ絶対無理ね」
「……そうなんだ」

「サポートしてくれる人がいたって、しばらくはろくに寝る時間だってないわよ」

わたしはよくわからないながらも、お母さんの言葉を聞いて、玲美さんが不安に思うのも無理はないんだなと考えていた。

「経済的にも大変よね。いくら公立に行かせたって、ほとんど同時期にすべてが三倍かかるんだもの」

すると食卓で新聞を読んでいたお父さんが、顔を上げた。

「なんだ。くるみはどうしてそんなことを聞くんだ」

わたしは少しためらった。こんな朝の慌ただしい時間に話すことなのか、きちんと向き合って話したほうがいいのではないか、と。

でも、凪は言ってた。『産まないほうがいいんじゃないかって悩んでる』って。
早めに動かないと、手遅れになってしまうかもしれない。

わたしはポツリと言った。

「お兄ちゃんの奥さん、今、双子を妊娠してるって」

その言葉に、お父さんとお母さんの動きが止まった。

「誰がそんなことを?」

お父さんが鋭い目でわたしを見た。

「凪が、手紙の思いを読んでくれて……」

「おまえは……四ノ宮のおじいちゃんにあんなに言われたのに!」

わたし自身も罪悪感を持っていることもあり、お父さんに強く責められて、逃げ出したくなった。

「だって、凪が読むって言い出して、聞かなくて……」

怒られるのが嫌で、ついそんなふうに言ってしまう。

「だからって、ダメじゃないか。おまえが止めなきゃ」