『はい中庭の水道まで行くから乗って』
「え、やだやだやだ。私まだ人殺しになりたくない」
『は?』
「そんなアオの華奢ラインに身体預けて、アオに死なれたらどうしよう」
『なめんなよ馬鹿。全米が泣くムキムキ男だ俺は』
「ごめんちょっと何言ってるかわかんない」
痺れを切らしたアオはぐっと私の両腕を引き背負う。私は汚れた両腕と両足をアオの制服につけないように大人しくなる。
アオは右手で私のローファーと靴下、左手で網を持つと気まずそうに立ち尽くす彼女達の元に行く。
『君らさあ、』
アオの作り笑顔かわからないほどの精密な柔らかい笑顔。でも内心に渦巻く感情が喜びなどではないことなど全員がわかるほどの、無情な笑顔。
そして、もう二度と関わりをもたないとでも言うような、柔らかくて朗らかで辛辣な他人行儀な口調に、彼女達は震える。
『───次、っ、』
私は慌ててアオの首を絞めていた。
いきなりの衝撃に呼吸を上手くできないアオは苦しそうに声にならない声を上げる。