『そういえば池の岩に乗ってじゃんけんとかして遊んだよね。もしかしたらその時じゃない?』
『あー、そうかも。ジャケットに鍵入れてたしスマホ何回も出し入れしてたから・・・』
そんな言葉を並べながら決して核心には自ら触れない。
それを私に言わせるための誘導だ。言ってしまえば自分達の責任になってしまうのは嫌だ、と見え見えの会話を綴りながら彼女達は私の言葉を待つ。
「・・・・・・池に落ちちゃったかもしれないってこと?」
『そうかも!でもさすがにそれは諦めるしかないよね』
「あ、いいよいいよ。気にしないで」
疑心暗鬼になりそうな自分を振り払うように彼女達に微笑む。私はさっさとローファーと靴下を脱いでもう綺麗なんてお世辞でも言えない池の中に足を突っ込む。
『英語居残りやだ・・・・・・は!?ハル!おい馬鹿。何してんだよ』
アオは壁に頭を預けて寄り掛かっていたが、不意にこちらを向いて目を見開く。私の姿に慌てて池のところに走って来た。
「アオ、網ない?てゆーかなんか気持ち悪いぃいいヌメヌメする」
『おっまえ、馬鹿。いいよ早く出ろ』
「もうここまできたら見つける。早く網」
『・・・・・・ほんっと馬鹿。すぐ持ってくる』
アオは眉間にシワを寄せて不服そうにしながらも、急いでその場を後にした。