『俺らは傍から見たら仲良しですか?』
「いえ」
『いや溜めろよ即答過ぎ』
こつん、と飲み物でおでこを小突かれる。アオは睨みつける私を放って頬杖をつくと、どこかを眺めながら呟く。
『でも俺ら、仲良しな“友達”だろ』
「まあね」
瞳だけをこちらに寄越して私を見下ろすアオは鼻で笑った。耽美なその顔に舌打ちが零れそうになるのは、私がアオの友達だからだ。
『他人が決めることじゃねーんだよ。当人同士だけに“在る”関係に良いも悪いも決められんのは、当人同士だけ』
「・・・確かに」
『あれれ?素直なハルちゃん珍しーね。どうした、俺に惚れたか?もうおせーぞ』
ゴリラを見つめる私の視界を、綺麗な顔で覗き込んで邪魔をしてくれたアオの顔面にぐーをめり込ませる。
「なんかカッコつけて人のことは言えんのにさー、自分はどうなんだよって感じで。ぜーんぶ自分の言葉ブーメラン」
痛そうに鼻を抑えて文句を言おうとしたアオの唇が止まって、緩い息を吐き出しながら彼も私と並んでぼけ、と浸る。