『ん?あ、ハルもキリンに餌やッあぶぁふえッ・・・!』








私は容赦なくアオのニットスヌードを思いっきり持ち上げる。理由は言わずもがな無駄に綺麗な顔面を隠すためだ。


アオはあまりの突拍子もないことに追いつかず、反射的に出た声だけで驚くと、私にされるがままだ。





完全に顔面をニットスヌードで封印されたアオは無言で立ち尽くす。これはこれで面白くて注目を浴びそうだが、こっちのがまだマシだ。







『・・・・・・・・・・・・は。何これ』

「似合うよ凄く」

『ねえ、そんなに俺のこと嫌い?もう俺の顔も見たくないほどに?あ、なにそれとも俺の喜ぶ顔は醜すぎるから消え失せろって?俺は幸せの感情を抱いちゃいけないとかそういう系?』

「アオめんどくさい」

『いや面倒で片付けないで。俺のこの仕打ちは何。どういうこと』








アオの先程までのはしゃぎは消え失せた。微塵も残っていない。

ニットスヌードを顔面全体に装着しながら両手を力なくだらんと下げて、淡々と私に言葉をぶつけてくる。妖怪だな。






私は無言でアオの姿を写真に収め、さっさと遠山先輩と戸島先輩の元に歩き出す。









『あのフラミンゴの足、引っ掴んでゴルフバットにできそう』

『んー、代償大きくない?』

『それは言えてるかも。テニスラケットくらいかな』

『いやモノ扱いは一旦忘れよう美和』