『ちょっとぉおおお!何あの人。好きな鯉食べんの!?さっきあの人好きな動物、鯉って言ってたよね。なんで?なんで?愛でるのも食べるのも好きって、ねえ、え?どういうこと?てか鯉って食えんの?』
「戸島先輩やばいわ」
『あれか、卵から育てた鳥を最後はタンドリーチキンにする系女子か。こえーまじこえー』
「そんな女子なかなかいないと思うんですけど」
がたがた震えるアオの肩をぽんぽん、と叩いて失敗続きの挽回方法を考える。と言いつつ、遠山先輩と戸島先輩は今のところ何の問題もなく、普通に楽しそうである。
「もうさ、私達も普通に楽しもうよ」
『え?』
「それで先輩達に何かあった時に援護できるようにしよう。無理に場を盛り上げようとかは要らない気がする」
深呼吸をして、アオに微笑む。アオは暫く黙って私を見つめていたが溜息混じりに「そうだな」と零し、遠山先輩と戸島先輩へと視線を流した。
『俺らは援護できるレベルで控えめに楽しむか』
「うん!」
アオも納得したように微笑んで、ニットスヌードに口元を埋めた。
◇ ◇ ◇
『ちょちょちょちょっ!ハールーッ!カピパラカピパラ!俺初めて見るカピプャ、パラ!!!』
「・・・・・・」
あいつ、10分前に自分で言ったこと、絶対忘れてんだろ。