アオは嘲笑って気分が良くなったのか私の頭の上に手を置くと遠山先輩を見て淡々と告げる。









『やっぱり俺ら偽装カップルとか出来ないんで、違う作戦でいきましょう』

『あ、そ、そっか。うん』







アオの言葉に明らかにしゅん、と落ち込む遠山先輩。その顔を見てしまっては、もうダメだ。私はアオの手を払って向かいの遠山先輩の手を握り締め、前のめりになる。









「いえ、ダブルデート作戦でいきます」

『え?いやでも、』

「大丈夫です。早速1日の計画を立てましょう」







結局、計画を立て終わって遠山先輩が部室を後にしても、あからさまに刺々しい視線を突き刺してくるアオを見ることはできなかった。









『おい』

「・・・・・・」

『ハル、こっち向け』

「・・・なんだよ。なんか文句あんのか」

『文句しかねえわ』






遠山先輩が去って暫くの沈黙を先に破ったのはアオ。2人掛けソファーに堂々と座るアオとちょこんと隅に隠れるように座る私。




身体ごと逸らしていたけど、アオの声に、掴まれた腕に観念してアオの方へ向けば、やっぱり明らかにご立腹なアオ。静かに怒ってる時のが怖いんだ、こいつは。