アオが躊躇うことなく、上がる息のまま、涙の跡を残したまま、鼻を赤くさせたまま、真っ直ぐと私を愛おしそうに見つめ、私に向かって大きく両手を広げた。
『─────・・・ハル』
嗚呼、大好きなアオの声で、ヘタレで情けなくて、この世界でたった1人のアオに、そんな優しい声で呼ばれたら、
私の涙腺は再び崩壊して。残りの階段5段をすっ飛ばして思いっきりアオの身体に飛び込んでしまうのも仕方ない。
『ッいったあ・・・!』
「そこはかっこよく受け止めろよ台無しじゃん」
身体に抱きついた瞬間、アオは情けなく私に腕を回したまま思いっきり後ろに倒れた。ごつん、と鈍い音がしてアオが頭を床にぶつける。
『いや物凄い勢いでメスゴリラが突進してくるから』
「テイク2やる?やり直す?」
『興醒めだろ馬鹿か』
「うるせえもやしヘタレ顔だけ野郎」
『ハルにだけは言われたくねーよぶゎあーか。てか髪切ったのいつの間に』
「静川さんが切ってくれた!どう?可愛い?」