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『ねえ、なんで紙飛行機?』









不意に気になったようだった。やっと手に入れた部室から双眼鏡でアイツを見つめていたハルが気まぐれに俺の方へ振り返る。







少女漫画を読むふりして、ハルを眺めていた俺は平静を装いつつ、内心慌てて少女漫画を読み耽るフリをした。










俺の記念すべき猛スピード失恋日から、数日後、偶然にも彼女に利用されて、アイツのために部室が欲しいという彼女に心底嫌になったけど、それでも彼女の傍にいられるなら、とそちらを取った。











『なんとなく』

「なんとなくで紙飛行機ってなにそれ、変なの」

『・・・・・・変、だねー、そうだね』

「うん、変。なんかあるのかなって思っちゃったじゃん」








ハルは保健室で出会ったことも、俺に紙飛行機を当てたことも、何一つ覚えていない。それくらい俺の存在は彼女にとっては当て馬以下だけど。








それでも、何があっても彼女の傍に、隣に、いるためなら。









「(瀬野のこと、馬鹿にできねーや俺)」










馬鹿みたいって思った。でも俺も馬鹿だった。馬鹿になれるほど、ハルが好きだった。