父親との大好きな野球だけを取り柄に、俺は何をされても言われても時には故意に殴られても、必死で耐えた。もう痛みのレベルが麻痺してしまうほどに。
俺もきっとヤケになっていた。大好きな野球をあんな奴等に奪い取られてたまるかって、躍起になっていた。ただそれだけの感情で野球にしがみついていた。楽しかった野球は、憎しみと反発心のためのものになっていた。
大会が近くなるたびに俺への先輩達の態度はきつくなっていった。同学年は俺と関わりを断ち、無関係だと俺を生贄に、白旗を上げて傍観者を決め込んでいた。
『青井、お前、自分が邪魔だっていい加減気づけよ』
「・・・すみません」
『謝るなら行動で示せよ』
心を無にして、無表情で彼らを見据える俺。それが気にくわない先輩達は何度も何度も言葉でも暴力でも、俺をまるで心のない機械のように八つ当たりの行き所にした。
「ただいま」
『紫春、おかえり。ご飯できてるわよ』
「あー・・・うん、ありがと。ちょっと疲れちゃって、風呂入って寝るわ」
『・・・そう』