御礼を言われる人間なんかじゃないって、思わず4人に苦笑いが溢れてしまえば、それに気づいた美和先輩。
『何か悩みがあるなら、いつでも聞くよ?』
「あ!大丈夫です」
『遠慮すんなよな』
「ありがとうございます」
バレンタインデーでとっても元気な4人に釣られて笑顔になりながら、また校舎内を歩く。すると設楽会長と山吹先輩を見掛ける。彼らは私に気づかずに真剣に話をしている。
『そうか。やっと認めてもらえたのか』
『うん、ほんとーに長かった。大学も合格したし、教師目指して頑張ります。会長も、一人暮らしになるの?』
『ああ。それにしても最近、青井が俺に嫌がらせをしてこない』
『あ!俺も。もしかして春井さんとなんかあったのかな?』
『あの意味不明な部活がなくなるからかもな』
『あー・・・、会長どうにかできないの?』
『・・・どうにか出来てるならとっくにしてる。あのふざけた部が人気なのは確かだしな』
『俺はあの部、大好きだよ』
『俺は大嫌いだ』
『会長ツンデレかよ』
そんな会話に少し泣きそうになりながら、ゆっくりと歩みを進める。みんなみんな、自分の道を必死で進みながら、誰かを思って強くなってるのに。
上履きのまま外に出て、ちらりと見えた中庭に2人の男の子。とても仲良くお昼を食べているのは蓮見くんと長瀬くんだ。彼らはあれからたくさんの大会で入賞しては表彰されていた。
『はっるいせんぱーいっ!』
ドンっと後ろからアタックされて転びそうになる。勢いよく振り返れば、犯人は佳菜子ちゃんだった。佳菜子ちゃんは嬉しそうに私を見上げ、私にそれを差し出す。