『別にそんなことないけど』
『えー!絶対嘘だよ。だって一緒にいるとこ全然見ないもん』
『いや、』
その時、不意にアオの視線が私を捉えて、今度こそ驚いたような顔をする。それに、周りの女の子達も気づいて振り向き、私を見つけると気まずそうな顔をする。
『・・・ハル、』
久しぶりに見つめ合った瞳に、呼ばれた名前に、泣きそうになって思わず教室を飛び出して、当てもなく歩き出した。
今日の昼休みは何処もかしも甘ったるい匂いがして、憂鬱な心がほんの少しだけ穏やかになる。昼休みが終わるまで兎に角気を紛らわせるために校舎の中を歩き続けようなんて、ふらふらする。
『あ!春井先輩!』
「・・・あ、飛田くん。久しぶりだね」
1年生の教室前を歩いていれば、いきなり名前を呼ばれて振り返る。そこには満面の笑みを浮かべた飛田くん。
教室から顔を覗かせる彼はお友達無し男だった飛田くんだ。振り返って飛田くんの元に行く。彼は友達とご飯を食べていたらしく飛田くんの机の上にはチョコがいくつか置かれている。