「新年明けましたが、」
『はい』
「私の気持ちが全然明けてないのはなんででしょうか」
『知るか』
新年を迎えれば、こう、何か、ぴかーっと気持ち的に何か劇的な変化があると思った。だけど明けたのは年だけで私の気持ちに全くの変化も訪れなかった。
もうすぐ修学旅行だというのに、1月からこんなにだらだらして、実は冬休みお餅を食べ過ぎてほんの少し体重が増えて、尚更気持ちが沈んでいる。
「────・・・部室、なくなるなんて」
『・・・まあでも、アイツも卒業するしな』
気持ちが落ちた最大の原因は、この部室がなくなるということだ。この部室棟自体が取り壊されて別の所に新設されるらしい。
その際に、正式に部室を必要とする部かどうかの審査があるらしく明らかに私達はアウト。なにをどう頑張ってもアウト。
なので、今日部室がなくなることと兼ねて今学期を以て廃部か、部員を増やして存続かを、名前だけの顧問に言い渡された始末である。
「なあーんにもなくなっちゃうじゃん」
何も、なくなってしまう。ここで在った出来事。見てきた景色。過ごしてきた時間。今までの何もかも、消えてしまう気がして、純粋に悲しいし、変化が怖い。
相変わらずソファーで寝転んで少女漫画を読むアオは、窓から勝部先輩を眺める私に声だけを飛ばす。