『あれ、青井?』





向こうから歩いて来た学ランを着た男の子がアオを二度見したかと思えば笑顔で声を掛けてきた。アオは無表情で彼に視線を向ける。





『おー。ハシモトくん』

『岡本な!さっすがイケメン、クリスマスに彼女とデートかよ幸せそうだな』




アオに嬉しそうに懐かしむように話しかける岡本という男の子は私達とは制服が違う。





『彼女じゃねえよ』

『そうなの?え、めっちゃ可愛いじゃん』

「よく言われますー」



坊主頭に、へらへらとした憎めない笑顔が印象的だ。



『これのどこが可愛いの』

「うるせえ黙れ下衆」



言い返しながらアオへ視線を向ける。岡本くんに比べて相変わらずの無表情。それでいて何処か逃げ場所を探しているような顔。




『いやあ、元気そうで良かったよ。一時期お前やばかったから、俺ら心配してて』

『・・・そらどうも』

『みんな青井に会いたがってた。あ!てかお前今日誕生日だよな!?クリスマスに誕生日でおめでたいって、思い出した思い出した』

「え!?」





衝撃の事実が空から降ってきたレベル。お前誕生日だったのかよ!とアオを見れば何食わぬ顔で私に小さく手を挙げるアオ。その腰を問答無用で叩く。言えや。何も用意してねえわ。