『でも拓人は辛いししんどいんだって。曖昧な関係も、チャンスがあるうちに自分の気持ちを相手に伝えたんだとさ。…めっちゃ強え』
「羨ましいなあ、故原くん」
『やっぱり“女の子”はそういう男が好き?』
机に腕を乗せて少し冗談混じりなアオの問い掛け。私は読めない瞳に視線を合わせつつ、首を傾げてストローをぐるぐる指で回す。
「人によるんじゃない?」
『じゃあハルは?』
「私のこと女じゃないって言ったくせに」
『根に持つねえ?俺のことハゲって言ったくせに』
「お互い様じゃん」
話が逸れて、ゴミをアオに投げつければ投げ返させれる。こんな馬鹿やってるの、私達だけだ。
アオが先に疲れて私にゴミを投げられるだけ投げられる。と、笑う私に半目になりながら頬杖をついて遠くを眺めた。
『・・・俺が告ったらきっと泣いちゃうもんなあ』
「は?」
『なんでもない。もう行こ』
「あ、うん」
アオが不意に零したそれに聞き返す間も与えられなかった。すぐにいつもの調子になったアオは私のトレーも持ってさっさと片付けに行ってしまう。
2人で駅に向かう帰り道を歩きながら、先程のことはなかったかのようにくだらない話をしていれば、