「はいはいはい!落ち着いて!」
『大体女子はいっつも俺らのこと馬鹿にしやがって』
『だってほんとのことじゃん、本当のこと言って何が悪いの?』
「まあまあ落ち着、」
『じゃあ女子は全員いつもテストで男子よりも上なんですかー?』
『そういう馬鹿って基準じゃないことわからない時点で馬鹿じゃん』
終わらない怒号に誰よりも耐えきれなくなったのは私だ。
思わず横で眠そうに瞼を擦るアオを殴ってしまいそうだが、本気でアオが病院送りになりそうなので、無言のまま回し蹴りで近くにあった掃除ロッカーを思いっきり蹴る。
物凄い音に、全員が声を上げることをやめて私を見た。そして、ただ静かに憤りを溜め込む私にビクゥと肩を上げる。
アオはへこんだ掃除ロッカーを見てから半目で私を呆れたように見つめてきた。
「・・・じゃあアオ、私は静寂を作ったので後は頼むね」
『ええー』
「アオ」
『おっけいわかりました精進します』
びくっと怯えたように口の端を上げたアオは逃げるように私から視線を逸らす。そして未だに固まる皆に面倒そうに言葉を紡ぐ。
『大声を出すことはストレス発散になるらしいです。どう?フラストレーション解消した?』
私とは打って変わって心底どうでもよさそうに淡々と言葉を吐き出すだけのアオは、何故か人を惹き付ける。