そんな伝え方に思わず笑いそうになるのを堪えて、大きく頷くとリーダー格の女の子に視線を向けて笑いかける。
「私達、アオハル部なんだけど知ってる?」
『・・・まあ、ある意味有名だし・・・』
「ある意味って。じゃあ部活内容とかも知っててくれてる感じ?」
『詳しくは、知りませんけど』
話が吹っ飛んだことに困惑したリーダー格は、訝しげな顔をしながらもこの重たい空気の中で、能天気面した私とアオに圧倒されながらやっとのことで返事をする。
アオは察した私を安心したように見下ろす、彼曰くの4次元ポケットにしまっていた風船ガムをぽんっと口の中に入れた。そんな気だるげさだが、結局は自分の背中で佳菜子ちゃんを隠している。
「相談、受けてるんだよ。だからほら、気軽に話してよ。そんな固くならないでさあ」
怯む彼女達に近づいてぽんぽん、と肩を叩く。せっかくの楽しい文化祭がこうでは勿体ない。
そう思えるのは、視野が広がったのは佳菜子ちゃんのためだけではなく、アオハル部として動こうと思ったからで。
それを気づかせてくれたのは隣でめっちゃ風船ガム膨らませて心做しか嬉しそうな馬鹿である。
彼女達ももう正直対立に疲れていたのか、リーダー格が溜息をついて緊張を解くと周りの子達もどっと疲れを感じたような顔になる。
『藤井さんあんまり私達と関わりたくないのか話しかけても相槌しか打たないし、結局今日お願いしてた仕事も間違ってるしでさすがに私達も爆発して』
リーダー格の子が呆れたようにアオの後ろに隠れる佳菜子ちゃんを見ながらそう言う。多分言ってる限り、嘘はないような気がする。