『春井先輩こんにちは!』

「佳菜子ちゃん今日も元気だね」

『恋してるんで!』










にこーっと私に満面の笑みを浮かべた佳菜子ちゃん。私の笑顔に満足そうに歯を見せて更に笑顔を深めると、アオを見つめる。







アオは私と佳菜子ちゃんの間に挟まれ、心底嫌そうな顔をしながら真っ直ぐと前を向く。まるで私達がいないような扱いだ。






「は、何その顔。両手に花じゃん、もっと笑いなさいよ」

『両手に猛獣の間違いでしょ。俺いつからサーカス団入ったんだっけ』

『青井先輩ウケるー!』

『ごめん俺の心は全然ウケてない。なんでそんなに笑いの沸点低いの頭弱いの、藤井って』

『青井先輩のその無表情な感じが好きですー』

『褒められたのこれ、ねえ、ハル。貶されてるよね、俺』

「うん、表情筋死んでるってさ」

『そこまで言ってねえーわハルのゴリラ』

『あっ、青井先輩、可愛い女の子代表の春井先輩にそんなこと言わないで下さい!』

「佳菜子ちゃん後でアイス買ったげる」







ここ最近、こうして3人でいることがとても多い。文化祭の準備で、通常の授業を全学年で取りやめることが多いのも理由のひとつなのだけれども。






『青井先輩明日の休憩何時ですか?』

『1時から2時半』

『じゃあ私と一緒に回ってください!お話したいこと沢山あるんです』

『俺はないからやだなー』

『青井先輩めっちゃ素直!ええー、いいじゃないですかーっ!』









まだ幼さ残る可愛い顔立ちの佳菜子ちゃんが、アオの腕をぶんぶん振りながら懇願する。のを、奴は素知らぬ顔で欠伸をしている。最低だ。