爪先立ちの私に、私をやすやすと片手で持ち上げたアオ。ぐっと私に顔を近づけ、上から覆い被さるように。その端正な顔は穏やかに微笑んでいるが、その奥の奥に、何かが蠢き渦巻いている。
『それは、無理』
「は、?」
ふわりと微笑んだアオの顔は優しげなのに掴まれた手首に込められる力は華奢なアオとは思えないほどの力で、全ての怒りや痛々しい思いが全てそこに集約されているようだ。
アオの細められた瞳から逃げられず、見つめ返しては眉間にシワを寄せるのが精一杯な私にアオはありったけの作り笑いで声を絞り出した。
『自分で言ったんじゃん、俺とハルの関係は例外だって』
「そ、だけど、」
『俺にアイツを上塗りすんなよ。それだけは反吐が出るほど嫌だ』
その言葉に、胸が軋むように痛む。重ねてなんかない。重ねようとしたこともない。ただ、純粋にアオと勝部先輩のポジションが反対だったなら、どうなっていたのだろうかと思っただけなのだ。
押し黙る私に、アオは瞳を儚げに濡らしてはそれに反するように口角を上げる。
『───ハルは一生、俺のことが“嫌いになれない”んでしょ?』
頷きも何もせず、黙ってアオを眼光鋭く見つめ返す。肯定するも何も自分で言ったことだ。今更否定なんてしない。
私のその瞳にアオは、ぱっと、私のことを離すと興醒めしたようにさっさと歩き出す。
「は?なんなの、何が言いたかったの」
『・・・忘れたー』
「はあ?」
時々、どうしようもないくらいアオがわからない。
体育の授業で
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だるそうにしている男子は
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大体内心いつ活躍できるか
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計算してる
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