またもや爆弾。故原くんの純粋さは私の曲がりくねったそれにとても凶器だ。隣でアオも固まって私を見つめている。その顔はやっぱり馬鹿みたいに綺麗で、見ているだけで腹が立つ。
「勝部先輩への“好き”は、もうどうしようもないくらい好きが溢れ出して見てるだけで幸せになれるし、ずっとずっと見ていたいし応援したいし、勝部先輩の笑った顔をずっと見ていたい」
真っ直ぐと故原くんの瞳を見つめて告げる。1年生の一目惚れした時から、ずっとずっと勝部先輩だけを見つめてきた。その気持ちに嘘はないし、これが私の“好き”だ。
隣のアオがを私から視線を逸らし、無表情で風船ガムを口に放り込んだのが見えた。
『・・・紫春の“好き”は?』
「好きっていうか、なんだろう。多分、一生、“嫌いになれない”存在。私はアオの最低な所を知ってるし、アオも私の最低の所を知った上でお互い一緒にいられるんだもん」
『嫌いになれない?』
「うん。どんなにアオのクズな所見ても見慣れてるし、コイツだから仕方ないなって思えちゃう。だからこれは特例・・・あー、強いていえば家族的な?」
ふふん、と我ながら良い事言えたんじゃないかと頭をこんがらせて困惑する故原くんから、隣のアオへと視線を移す。
と、心底つまらなさそうに風船ガムを膨らませたアオは私なんか居ないかのように、一心に黒板を見つめながらロッカーに寄り掛かっていた。とても冷たい、そんな顔が酷く綺麗で、怖くなる。