「故原くん故原くん死ぬな!」
『いやハル揺すり過ぎ拓人死んじゃう』
「故原くん!死ぬなあ・・・!」
『いや拓人今死にそうだから離せ落ち着け殺すな』
アオが慌てて私から故原くんを引き離す。そして故原くんの頬をぺち、と優しく叩くと故原くんが正気を取り戻す。え、なんで私じゃ駄目だったの。
故原くんは私達に気まずそうな視線を向けながらも、ぽそり、と零す。ほのかに染まる赤い頬が可愛い。
『2人はさあ・・・好きな人、いるんだよね?』
「勝部先輩!!!」
『真奈美ちゃん!!!』
『うわああっめっちゃ食い気味怖い怖い怖い・・・っ!』
ふがふが鼻息荒くする私とアオ。それに物凄く嫌そうな顔をしながら両手で顔を隠す故原くんに更に2人で詰めよれば、故原くんが叫ぶ。
『じゃ、じゃあ2人は好きな人のどこが好きなの!』
それにキョトンとした私とアオはお互いに1度見つめあって頷くと故原くんに向き直り、はっと鼻で笑う。
「いや、もう全て?」
『この世にその存在があるだけで世界は今日も色づいてる的な?』
「何言ってんの真奈美はこの世に存在しないよ」
『はあ?お前何様なわけ、“ちゃん”を付けろよつーか俺の世界には真奈美ちゃんワールドちゃんとあるからなめんなよ』
「うわあ痛い痛いきもいいい」
『ゴリラに興奮してる女に言われたくないんですけど』
「勝部先輩はゴリラじゃないっつーの!お前ちゃんと目ん玉ついてんのか?あ?」
『それはこっちの台詞だあれがゴリラじゃないならゴリラは誰だよ』
「ゴリラはゴリラだろうが馬鹿か」