アオは泣きじゃくる2人を無表情のまま見つめながら、感情のない声を落とす。あの2人は救われたのに、何処かアオには蟠りがあるような、そんな声。








『アイツ1人、笑ってなかったもん』


「・・・そ、か」







アオの言葉に私も静かに頷くだけだ。くそ馬鹿でクズだけど、どこか化け物じみたこいつが、救えなかったものなんて、あるんだろうか。







「─・・・まあそんなもんだよね」

『は、何いきなり』

「救えたら何よりだけど、救えなかったから今救えるものもあるよね、みたいな」

『・・・・・・』









私の言葉にアオがハッとしたように私を見る。その瞳は毒気のひとつもない、まっさらなままのアオの1番弱々しい瞳。でも1番優しい瞳。







私も首を傾げながらアオを見つめ返す。アオは暫く黙ったまま私を見つめていたが、ゆっくりと視線を流してもう1度あの2人へと向けた。それは先程まで向けていた瞳の色とは違う。









『・・・そっか』

「っていうかさ、何あの人数!」

『あ、あーそうそう来てくれたんだよねー』

「いや何軽々しく言ってんのよ。どうやってあんなに人集めたの?」








驚く私にアオは当たり前のような顔をしながらも裏事情を話し始める。








『部活の主将達に一応理由は軽く話して、昼休みに部活ミーティングとして体育館裏使えって言った。男子にはハルの写真と、女子には設楽の写真送ったら来てくれたよ』

「・・・何してんのお前、最後の方おかしくね」

『えっ、やっぱり設楽より俺だったかな?自惚れんなよとか言われたら立ち直れないから送れなかった』

「そこじゃねえよなんだよ私の写真って」

『大丈夫、稀に見る可愛く撮れたやつだから』

「サンドバッグいきまーす」

『ちょっ、はあ?なんッいたっ!はあ!?』







後日、蓮見くんと長瀬くんからの紙飛行機が部室の扉の前に御礼の紙と共に置かれていた。







右折か左折か迷ったら
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直進すれば大体開き直れるが
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そこに直進がないのがオチ
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