なのに、振り向いたアオの顔はいつもと変わらず無表情で、それに今日は少し呆れた様子と怒気を顕にされている。
『ハルさ、暴言は俺以外に言わない方がいいよ。暴力振るわれるよ』
「いや、アオにも思いっきり殴られてるけど」
『あ、そうだった』
いきなり意味不明な奴の登場に先輩たちは怒りを爆発させながら、怒りの矛先をアオを含めた3人に向ける。アオはそんなのお構い無しに震える蓮見くんの元に行くとその肩にぽん、と手を置いた。
『・・・よく言ったな、お前すげえな』
『っ、』
『──────・・・あとは任せろ』
ゆったりと口角を上げて優しい瞳で蓮見くんを見下ろしたアオ。不安げに首を傾げる蓮見くんから視線を上げ、空気を大きく吸い込む。
『皆さんお願いしまぁあーすッ!』
アオの大きな声に、体育館裏の隅々から沢山の生徒達が姿を現す。元々いた私も蓮見くんも先輩たちもそれらにきょろきょろすることしかできない。