『・・・こわ、かっ・・・た・・・んです、長瀬を、助けたら・・・つぎっ・・・俺に、なるんじゃ・・・ないか、・・・って、』
蓮見くんの言葉にきっと誰しもが共感できる。頭ではいじめがだめだとわかってはいても、それを救い出す正義を真っ向から相手に差し出せる人は一体この世界にどれだけいるのだろう。
『・・・壊れ、る・・・長瀬、見てたら・・・あんな風には・・・なりたくない・・・なあ・・・って、・・・思う最低な、俺が・・・居て、』
大粒の涙と嗚咽混じりに落とされる蓮見くんの苦しかった辛かった思いがとめどなく溢れ出す。
『でも・・・見て見ぬふりして・・・て、・・・俺も・・・あの先輩・・・達と・・・変わんないなあって・・・、いじめてる奴らと・・・一緒だって、』
蓮見くんは、どれだけの思いでここに来たのだろう。
そっと、呼吸を静かに繰り返した蓮見くんが鼻を啜って、1番深く突き刺さった棘を声と共に抜きながら涙と一緒に落とした。
『だけど・・・何よりも、長瀬の苦しいとこ見てたら・・・俺も苦しくなって、ずっと、ずっと・・・痛くて堪らなかった・・・・・・です、』
それが、蓮見くんの答えだった。友達がそういうことをされて、自分のことのように胸が痛くなった蓮見くんが1番大きかった。
もう涙が落ちる寸前。下唇を噛み締めて顎を上げて涙が落ちるのを耐える私を見て、うわ、なんて言う薄情者のアオ。