「アオは何か案あるわけ?」
私の机に座るアオを椅子に座って見上げる。アオは無言のまま面倒そうに南ちゃんを見つめていたが、すちゃっとポケットからスマホを取り出す。
そして何故かドヤ顔で、私達にスマホを見せつける。
『余裕だろ』
「は?」
『ちと待ってろ』
訝しげな顔をする私に、楽しそうにスマホでアオを連写する南ちゃん。アオはそれにも無反応でスマホを軽く操作すると、私の机の上に置いて通話画面のスピーカーを押した。
《何の用だクズ》
『あ、もしもし?はいじゃあこの会ちょ・・・じゃなくて、Siriさんにわからないところを聞いてみよう』
通話が繋がり、この学校を支配する設楽会長の声が聞こえる。ちなみにアオは会長を「Siri」で登録していた。とことんクズだと思う。
南ちゃんは設楽会長だと気づいていないのか、楽しそうに机に手を置いてスマホに向かって声を降り注ぐ。
『Siriさーん、助けてほしいんですけど、』
《は?Siri?誰だそれは》
冷たい応答に悲しそうにアオを見た南ちゃん。アオはわざとらしく困った顔をすると南ちゃんの肩に手を置いた。おいセクハラ。