『・・・なあ、夏休みずっとゴリラ見てたの?』
「ゴリラ言うな。当たり前じゃん」
『・・・ふうん』
聞いておいて適当な返事をしたアオはそれきり声を発さない。ので、私も何も言わない。いつもなら突っかかるけどアオが居ない間のあの寂しさをアオの前で出すのは、なんだか恥ずかしくて気が引けた。
『───・・・1人にさせて、ごめん』
「え?」
はらり、と不意に落とされたアオの声に思わず振り返る。アオは少女漫画を読みながらソファーの上で寝転がったまま、こちらへ視線を向けることなく言葉を続ける。
『1人は誰だって寂しいじゃん。俺が居なくても平気だけど、1人は寂しいってちゃんと気づけなくてごめん』
「・・・・・・」
『そういうの、もっとしっかり考えるべきだった。拓人派遣させたり、平野さんにお願いしたり、ハルを1人にしない方法なんて沢山あったのに』
こいつってなんでこんな人間なんだろう。馬鹿なんだろう。
『ごめんな、ハル。寂しかったろ』
優し過ぎる馬鹿なんだう。