『ふっざけんなよ降りろよ重い!』
「うるせえわたあめのようだろ」
『わたあめはさすがに盛ってる』
「いいから早く漕げよ。てか、私が漕ぐ?アオ死ぬよね」
『死ぬか余裕だ足の小指だけで焦げるわ馬鹿か』
なんて叫びながらアオは前を向いて、苦しそうにペダルをぐんっと蹴って漕ぐスピードを上げた。そんな奴の後ろで余裕な私。
「もっと早く漕げよ急げよー」
『帰りは絶対ハル漕げよな!』
「いいから早く。もやし」
『うるせえムキムキで毎朝制服はち切れてるわ』
「その嘘はやめて。てかさー、本当に私漕ぐよ?」
すると、なかなかのスピードを出したアオは酸欠で少し赤らむ顔のまま振り向くと私の右手を取り、アオの華奢な腰に当てる。これは掴まってろってことなのかな。
『ハルはアイツ応援するために体力取っとけばいいんだぶゎあーか!』
ちゃんと掴まれ、と呟いて前を向いたアオはグッと私に重ねていた手に力を込めて態度でも示してまた一生懸命漕ぎ始めた。
私はそんな華奢で男らしい背中に笑いながらアオの腰に腕を回した。
『・・・・・・着、いた・・・!』
「よし良くやった。ありがと!」