『おい春井、具合悪いんだっ、』
『ハル!!!!』
先生の声を遮った扉が開く音と放課後に聞き慣れた優しい低音。今は少し荒々しく叫んでいるけれど。
なんて思いながら気分は浮かないまま、ゆっくり顔を上げようとすれば、もうその時には腕を掴まれていた。
『ハル、行かねえの?』
「え?」
『応援』
アオはずかずかと私達の教室に入ってきた。迷わず私の元に来ると腕を掴んで立ち上がらせようとしてきた。見上げた先の顔はやけに真剣で、馬鹿みたいに綺麗だった。
周りはきょとん、としたまま今の状況に理解しきれず固まったままだ。
『ハル』
「行っても、何もできないし」
『何様だばーか』
腕を掴まれたまま降り注がれた声は何時でもどんな時でも容赦ない。そして、嘘がない。
びっくりして目を見開いたままアオを見つめる。アオは眉間にシワを寄せて不服そうに私の顔をじっと見据えていたが、ゆっくりと口を開いた。