『・・・俺の言葉ではどうしようもなかったと思う』
『自惚れ過ぎー下着会長』
『お前そろそろ殴っていいか』
アオはただ単に設楽会長に暴言を吐きたかったらしい。楽しそうに冷やかすアオに設楽会長が拳を握りしめる。その顔はいつもの会長の顔だ。
アオはその設楽会長の顔に、くすりと笑うと目を細めて敢えて乾いた声を飛ばす。
『どうしようもない事ばっかだからこそ、助け合って補い合うもんでしょ』
アオの淡々とした言葉に設楽会長は驚いたように目を見開いて固まる。
『人には適材適所ってもんがあんだから、それで最後に上手く辻褄合えばそれでいいんじゃねーの』
アオの穏やかな声と下校中の生徒の笑い声が夕焼けに溶け込む。
『会長にしかできない事があんだから、アンタはそのままでいいんでねーすか』
『・・・・・・』
『ね、気絶先輩?』
けたけた笑うアオを思いっきりぶん殴った設楽会長は堪らなく嬉しそうな笑顔だった。
『いっだあああ!?暴力反対独裁政治横暴野郎あんぱんおたんこなす!』
『黙れ能無し。俺は帰る』
いきなり殴られた頭を抑えてぎゃんぎゃん喚くアオにふんっと自信満々な顔で見下した設楽会長は振り向いてさっさと歩き出してしまう。