『・・・ハル、手だけ、繋いでもいい?』
その消え入りそうな、それでいてアオの優しい低音が私の耳に囁くように入り込んでくる。そこまで鬼じゃない私も、自分からアオの手を取る。
『・・・なあんだハルも実は怖かったのかよ』
「今すぐ手を離せ」
『ごめんごめんごめん冗談だってジョーク・・・!』
「アオ手汗きもい汚い」
『謝ったのにそこまで貶す・・・!?』
本当は手汗なんて無いし、アオの大きくてほんの少し頬張った手はむしろ好きだけど、嘆くアオが見たくて思わず悪戯をした。
どんどん展開が進んで行き、きっと第一のホラー山場が訪れる。と、それをアオも察知したのか煩かったのが尚更煩くなる。
『ハルハルハルくるよな?これくるよな?くるよな!?』
「大丈夫こないよ」
『いやいやいやいやばかばかばか絶対くるって』
私も絶対くるとは思っていたけれど、あまりにもうるさいのと、思いっきり繋いだ手を引っ張られたり画面避けにされるのが気に食わないので嘘をつく。
もうそろそろくるな、と思ったところで怯えて警戒心最高潮のアオに呟く。
「こないって、ほら見てみ?」
私の言葉を鵜呑みにしたアオは閉じていた瞳を薄らと開けて画面を観た。そしてその瞬間に画面いっぱいに広がるえげつない顔面をされたお化け。