『なんで。青井くんと何かあったの?』
「今その名前出さないで」
『はあ・・・理由は知らないけど早く仲直りしなよ』
「絶対私からは謝らない。向こうが謝ってきたら許してやらなくもないけど」
そう、私は絶賛アオと喧嘩中なのである。2日前の部活中に喧嘩してそれから一言も口を聞いていない。
もう教室には私達しかいない。夏子は不機嫌な私を見つめていたが折りたたみ傘を目の前で見せつけて悪戯に微笑む。
『青井くんと仲直りしたら、入れてあげる』
「えーやだやだやだやだ」
『じゃあずぶ濡れで帰るしかないね』
「夏子ー、そんなこと言わずにさあ、お願いだよ」
えぐえぐ泣き真似をしながら必死で夏子の後を着いていく。夏子はそんな私をガン無視でさっさと教室を出て廊下を歩き出す。
『えー?紫春。春井ちゃんとなんかあったの?』
『今そいつの名前を出すな』