「もう空気読んでよアオ」

『読んでる場合じゃないっしょ。山吹先輩3位になってますよ』





そう、アオの言う通り、成績優秀者2位の山吹先輩は3位に落ちているのである。1位は勿論、設楽会長。



紙を見つめて、愕然とする山吹先輩。私とアオは彼の両肩に片方ずつそっと手を置き、微笑む。




「まあまあ山吹先輩、こんな時もありますって」

『どんまいっす』




それだけ言い捨てて、張り出された紙をスマホで写真を撮り、さっさと教室に戻る私達。山吹先輩は設楽会長に胸倉を掴まれている。





『あれ?春井先輩も青井先輩も名前無くない?』

『え?じゃあなんであそこにいたの?』

『全然わかんない。2人ともめちゃくちゃ頭良さそうなのに』





群がる生徒達からそんな声が聞こえるが、完全スルーでさっさと教室に向かって歩きながらアオと次の作戦を立て始める。





『まとめると、今回の俺らの成績は仕方ない。やっぱり3位に教わるのと2位に教わるのでは違う』

「そうね。私達の成績が落ちたのもそれが関係してるとしか考えられない。シャーペンの調子は良かったし」

『今回2位誰だっけ?』

「3年の蓮見 理子先輩だって」

『おし、期末試験に向けて媚びと恩売るぞ』

「おす」





と、廊下の先に視線を向けるとアオの教室の前に夏子がいた。