『春井さん青井くん、テストお疲れ様』
「あ、山吹先輩・・・って、そのほっぺどうしたんですか」
仁王立ちする私達に声を掛けてきたのは山吹先輩。その頬には大きな湿布が貼られている。喧嘩なんて全く連想できない。
私の声に山吹先輩は思い出したように苦笑いを浮かべた。その記憶を頭の中に思い浮かべるように視線を私達から逸らして言葉を零す。
『親父と喧嘩したんだ・・・将来のことで』
「あ、あの、すみませ、」
『尚更、教師になろうと思ったよ』
「え?」
山吹先輩の瞳は前あった時よりも遥かに熱が篭っている。それに、じわりじわりと喜びが湧き上がって頬が思わず緩む。
『ありがとね、春井さん。青井くんも、ありが』
とても素敵な空気だったのにアオは冷めた声を飛ばしてきた。
『そんな事言ってる場合じゃないっす山吹先輩』
それに2人で視線を向ければ、アオは張り出された成績優秀者の紙を指さしている。