『静川さん、今大きな声と少しだけ勇気出せる?』
『え?あっ、はい!頑張ります』
『そ。じゃあ来て』
アオは立ち上がるとひょいひょい、と片手で静川さんを手招きする。静川さんは大きく息を吸いこんで気合いを入れると立ち上がってアオに続く。
『ここさあ、誰かさんのおかげでグラウンドが丸見えなのね。だから、静川さんの好きな人もよーく見えるでしょ?』
『は、はい・・・!』
私は頭が追いつかないので取り敢えず2人の後ろに立つ。
2人はいつも私の定位置である勝部先輩見守りポジションに突っ立って、その窓からどうやら想い人を見ているらしい。なんでアオは静川さんの好きな人を知っているんだ?
『ほんじゃ、ちょっと待ってね』
『え?』
ふわりと静川さんに微笑むとアオは大きく息を吸いこみ、窓から上半身を乗り出す。そしてグラウンドに向かって大きな声を響かせた。