「すっご!何これ凄すぎ」
『いえつまらないものですが、』
『静川さん、つまらないものっていうのはハルみたいな奴のことを言うんだよ』
『あ、そうなんですね』
「静川さんそこは否定するところ」
変に純粋な静川さんが作った食べ物は本当に美味しくて、がぶがぶ食べながら私達は彼女の依頼を聞く。その前に、と私はアオの腕を叩く。
「ちょっと!さっきから春巻き食べ過ぎ。もう3つは食べたでしょ!」
『ばあか4つですぅー。お前だってきんぴらごぼう食いすぎなんだよ。200gは食っただろ』
「は?何ドヤ顔で4つも食ってんのよ。てゆーか200gってどんぐらいだし」
『俺もわかんねえや。爪楊枝40本分くらいじゃね?』
「余計わかんないんだけど」
『それな』
なんて2人で納得しながら唐揚げに手を伸ばす。沈黙を見計らったように目の前の静川さんが眼鏡をくいと上げて本気を出した。
『あの実はですね依頼というのは私、畏れ多くも好きな人がいるんですがその方が実はサッカー部でして、今度のサッカーの試合で怪我から復帰してレギュラーとして出場するので応援に行きたいと思っておりまして、』
『おっ、落ち着、んっ!んんッ!』
「口になんか入ったまま食べようとするからでしょう。はいお茶」