『全然両想いなんかじゃないんだ』
苦笑いをするジャンケンボーイに何も言えない私と、観察するように澄んだ瞳で彼を見据えていたアオ。
『俺は見ての通り部活ばっかやってる馬鹿だけど、その・・・相手は凄く真面目で肌も白くて・・・優しくて・・・、全然正反対で、』
そこでジャンケンボーイが黙り込んでしまう。突如訪れた沈黙を破ったのはアオで、その声は相変わらず容赦ない。
『なんで好きになったの?』
『え?あ、これが1番恥ずかしい話なんだけど・・・』
『恥ずかしくない』
『、』
真っ直ぐと彼に言葉を投げるアオは無表情なのか、真顔なのか。
それでもその言葉に嘘はない。そんなアオの言葉だからこそ、彼も心揺られ息を飲み込んだ後に迷わず言葉を紡いだ。
アオは時々、どうしようもないくらいに人を魅了させる時がある。
『部活で落ち込んだ時に、その子が助けてくれたんだ。初めて話をするくらいの仲なのに、一生懸命俺のために声をかけてくれた』
『ん。』
『・・・それだけ、なんだけどね』
『そっか。じゃあやるか』
「え?何を?」
『ハルってほんと雰囲気ぶち壊す天才』