「んー、いいね、そういうの好き。で?ジャンケンが強くなりたい。それだけでなの?」
『あ、ありがとう、えっと、』
「春井。コイツは、アホ井」
『よろしく春井さん、アホ井くん』
彼の挨拶にアオは無表情で右手を小さく挙げる。
『すみませんたった今コイツと仲良くできそうもないと確信した俺はどうしたらいいですか』
2人でけらけら笑えばアオに笑い事じゃねえよと頭を叩かれる。私は叩かれた頭を抑え、睨みつける。
「いってーんだよもやし!」
『痛くしてるもん』
「は?うざいからそういうのいらないから」
『てかハルってなんでそんな口悪いわけ?ゴリラのくせに』
「そこは女の子だろーがボケ」
『えっ、冗談は顔だけにして』
「あ?・・・あ、ジャンケンボーイが戸惑ってる」
するとジャンケンボーイが自分自身を指差す。「ジャンケンボーイ」は自身の名前かと目を見開いて口をポカンとする。2人で頷けば、慌てて彼が口を開いた。
『あ、俺は2年1組のま、』
『おーけーおーけージャンケンボーイねわかってるわかってるだいじょーぶ』
『いや、全然大丈夫じゃないんですけど。俺はジャンケンボーイじゃなくてま、』
「ジャンケンボーイはさ、どうしてそんなにジャンケン強くなりたいの?」
『・・・・・・』