「うーん……食べたいというよりは、見たいんだよね。何味なのか」


ぼそぼそと答えると、高田くんは不思議そうな顔になった。


「なんで?」


そう言われると、正直に答えるしかなくなって、私はとうとう生まれて初めて、自分のポテトチップス理論を打ち明けた。

聞きながら、高田くんはだんだん笑顔になっていき、最後にはこらえきれないように声をあげて笑った。


「なにそれ、初めて聞いた。面白いこと考えるね、加藤さん」

「いやー、そうかな……なんとなく思いついたんだよね、ある日ふと」

「まあ、たしかに食の好みには性格出るもんね」

「あ、高田くんもそう思う? やっぱり好きな食べ物が同じだと気が合う感じするよね」

「あー、食の好みが合うのは大事だね」


と、ひとしきり盛り上がったところで、二人の視線が同時にコンビニの袋に向けられた。


「……中、見る?」


高田くんがそっとつぶやき、ちらりと私を見る。

私はどきどきしながらこくりと頷いた。


高田くんがゆっくりと袋に手を伸ばし、中に手を差し入れる。


ポテトチップスのパッケージが姿を現すまで、時間が永遠のように長く感じられた。