席について、鞄から教材や筆箱を出して引き出しにしまうと、白い封筒だけが机の上に残った。


窓から射し込む陽射しを受けて清らかに光るそれを、じっと見つめる。

気がついたら封筒を開けていた。

もう一度、ちゃんと読みたいと思った。


便箋を中から取り出す。

そのとき。


「……あ」


なにか白っぽい小さなものが、ふわりと舞い落ちた。

窓から吹き込んだ柔らかい春風にのって、ひらひらと宙を舞い、音もなく床に着地する。


ひとつ、ふたつ、みっつ。


「……さくら?」


舞い落ちたのは、桜の花びらだった。

どうやら封筒の中に入っていたらしい。


私は席を立って床にしゃがみこみ、三枚の花びらをそっと拾う。

傷つけないように、優しく、柔らかく。


手のひらにのせてじっと見つめていると、自然と笑みが浮かんだ。


拾った花びらを机の上にのせて、便箋を開く。


すこし小さめの字が、同じ大きさできちんと一列に並んでいる。


やっぱり、とても丁寧で綺麗な字だ。

一字一字を大切に書いたことが伝わってくるような。


だから、私も丁寧に、大切に、文字を目で追っていく。