「Tシャツどう? いい感じにできた?」

「うわ、めっちゃ目立つな、この衣装」

とたんに教室の温度があがり、騒がしくなる。

と、メンバーの誰かがめざとく颯太くんのはちまきを見つけた。

「なにこれ! これだけスパンコールじゃん」

「ほんとだ、むっちゃ手がこんでる」

「颯太は団長だから、特別なんだって」

えれなが説明していると、颯太くんが入ってきた。

「お、来た来た! 颯太、これ見ろよ」

「お前だけだぞ、こんなん」

颯太くんははちまきを手にして「すげえ」と呟いた。

「嫁がお前だけは特別に、だって」

「え?」

わたしは驚いた。違う、そんな言い方したら、えれなに誤解される、わたしはただ衣装係として……。
そう思ったとき、応援団のメンバーがひゅーひゅーとはやしたてた。

「いいね、仲がよくて!」

「あんまり見せつけんなよ!」

その輪の中にいたのは、颯太くんとえれなだった。

「違うってば、これは理緒が…」

「またまた照れちゃって」

「もう! やめてよー」

そう言うえれなの顔が幸せそうに輝いていた。